はじめに
Stable DiffusionでLCMが使用できる拡張機能「sd-webui-lcm」が公開されたので紹介します。
この記事では以下のことが理解できます。
- Stable Diffusion WebUIでLCMを使う方法
- LCMを使った場合にどの程度、画像生成が高速化されるのか
- DreamShaperとの画像比較
記事内の画像は日本語化環境の画像が含まれています。
まだ日本語化が済んでいない方は↓の記事を参考に便利な日本語環境にしてみましょう。
LCMとは
LCMとはLatent Consistency Model(潜在的一貫性モデル)の略で、事前トレーニングされた LDM(潜在拡散モデル)を使用し最小限のステップで推論が可能になります。
従来のStable Diffuusionモデルは画像生成までにノイズを除去しながら、徐々に詳細な画像を生成していました。
一方LCMは事前トレーニングされたLDMより、各ピクセルの特徴の組み合わせを把握し、高速に画像を生成します。
このLCMはリアルタイムで画像生成することを目指しており、現段階でも今までとは比べ物にならない程、高速に画像生成できます。
以下はLCMのデモです。
プロンプトの入力に対して、画像が追従する形で高速に生成されていますね。

LCMを使用すれば従来とは比べ物にならない程、高速化されるんだね!
Stable DiffusionでLCMを使う方法
Stable Diffusion WebUIの拡張機能「sd-webui-lcm」が提供されているので、今回はこの拡張機能をインストールしてみます。

現状ではLCM用のモデルは「LCM_Dreamshaper_v7」しか公開されていないよ。
sd-webui-lcmは、まだ発展途上の機能なので何が起こるかわかりません。
念のため、普段使用しているWebUI環境とは別の環境で使用しましょう。
webUIを複数インストールする場合には↓の記事をご参考ください。
sd-webui-lcmのインストール方法
- STEP1「Extensions」タブに移動する
stable diffusion webUIを起動したら上部に表示されるタブ一覧から「Extensions」をクリックします。
- STEP2「URLからインストール(Install from URL)」タブに移動する
Extensionsタブ内の「URLからインストール(Install from URL)」をクリックします。
- STEP3URLを入力する
「拡張機能のリポジトリのURL(URL for extension’s git repository)」に下記URLをコピペしてください。
https://github.com/0xbitches/sd-webui-lcm.git
- STEP4インストール(Install)ボタンをクリックする
下段に表示されている「インストール(Install)」ボタンをクリックします。
- STEP5「適用してUIを再起動(Apply and restart UI)」をクリックする
設定を変更した場合は、リロードする必要があります。
インストール済タブに表示される「適用してUIを再起動(Apply and restart UI)」ボタンをクリックしましょう。
sd-webui-lcmの使い方
- STEP1LCMタブに移動する
上部メニューに「LCM」が追加されているので、クリックして移動します。
- STEP2プロンプトを入力する
プロンプトエリアにプロンプトを入力します。
nov下段の「Examples」にあるプロンプト例をクリックすると、サンプルのプロンプトが反映されるよ。
- STEP3画像生成する
右側にある「Run」ボタンをクリックすると、画像生成を開始します。
画像生成完了 nov記事執筆時点ではデモ版とも呼べるレベルで、機能は最小限だね。
生成した画像は「outputs」→「txt2img-images」→「LCM」に保存されています。
画像保存フォルダ
sd-webui-lcmの設定について
LCMタブの下段にある「Advanced options」をクリックすると設定項目が表示されます。

Seed
シート値を設定します。
「Rundomize seed across runs」をチェックすると画像生成ごとにシード値が変化します(ランダムシード)。
Run LCM in fp16(for lower VRAM)
VRAM使用量を低減しますが、LCMはVRAM使用量が多いので基本的にチェックしておきましょう。

4070ti VRAM12GBを使っているけど、現状は通常運用が難しい程です・・・
Run LCM with torch compile(currently not supported on Windows)
Windowsではサポートされていないので、チェックしないようにしましょう。
Run LCM on CPU
CPUでLCMを動作させます。
WindowsではGPUで動作させるのが基本なので、チェックしないようにしましょう。

i7 10700で試したけど、まともに動作しませんでした。
Width,Height
生成画像の解像度を設定します。
現状は768が最大です。
Guidance scale for base
直訳では「ベース用誘導スケール」です。
何に影響しているのかわかりませんでした。
テストした結果では高めのほうが、解像感と彩度が高めで良い印象です。




Number of inference steps for base
ベースとなる推論ステップ数です。
従来のサンプリングステップ数と同じ感覚です。
- 低いとノイズが多く、ぼやぼやになる
- 高いと高画質になる
ただ4以上は、生成画像にそれほど差が無いです。
Number of images(batch count)
画像生成枚数を設定します。
現状はVRAM解放がうまく機能していないのか、12GBのVRAMでは8枚くらいが限界です。
LCMでどのくらい高速化されるのか確認してみた
sd-webui-lcmで画像生成すると、画像生成時間がどのくらい高速化されるのか確認してみました。
テストした結果から、Guidance scale for baseが画像生成時間に影響することがわかりました。
- Guidance scale for baseを低くすると低画質で生成時間が速い
- Guidance scale for baseを高くすると高画質で生成時間が長い
結果は以下の通りです。
(テストで使用したGPUは4070tiです)
画像生成時間はコマンドプロンプトに表示されるLCM inference timeを参照しています。

Guidance scale for base 設定値 | 画像生成時間 |
1 | 0.27秒 |
4 | 1.01秒 |
8 | 1.45秒 |



Guidance scale for baseを8に設定した画像はかなり綺麗ですね。
さらに生成スピードは約1.45秒と爆速です。
DreamShaper V8で似たような画像を生成しましたが、画像生成時間は約2.8秒(20step)でした。
私の環境では2~3倍程度、高速化されていますね。


もしかしたら、性能の低いGPUの方が恩恵が大きいかも
LCMで生成される画像を比較してみた
最後にDreamShaper V8と同じプロンプトで画質を比較してみました。
LCMではネガティブプロンプトが指定できないので参考までに。


かなり印象は違いますが、良い勝負ではないでしょうか。
LCMでも十分高画質といえます。
ただ全体的に彩度、コントラストが低めの印象です。
AI画像生成のスピードはグラボが重要
Stable Diffusionでは一枚の画像生成に数十秒の時間を要します。
また、生成したい画像を一発で生成することは出来ないのでトライ&エラーを繰り返すことになります。
そうなんです。一枚の画像を作成するのに思った以上に時間がかかるのです。
だったら画像生成スピードを上げてしまえばいいんです!
画像生成スピードに一番影響するのはグラフィックボードです。
スピードだけ求めるなら発売されている一番のグラフィックボードを選べば良いのですが、非常に高価なので、ここではコスパに優れるモデルも合わせて紹介します。
まとめ
今回は、Stable Diffusion WebUIでLCMが使える拡張機能「sd-webui-lcm」を紹介しました。
現状はLCM_Dreamshaper_v7モデルしか使えませんが、LCMが今後の主流になるだろうと感じました。

今後の展開が気になるね!
LCM-LoRAであれば、どのモデルでも高速化の恩恵を得られるのでおすすめです。
LCMを使用しない場合、おすすめの高速化方法はSDPAです。
SDPAなら今まで通りの使い方で、画像生成時間のみ速くすることが可能です。
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